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新型肺炎による株価急落についてⅥ

さて、昨日は上海や香港の反発により、落ち着きを取り戻した日本株ですが、今日は、米国の夜間取引の軟調を受けて、朝高の後、下落に転じています。当面、このような神経質な展開は続くことでしょう。

今後を考えるうえで大事なことは、原油価格の暴落です。一昨日は30ドル近辺まで売られましたが、昨日は若干落ち着いています。今回の原油の大幅下落は、世界的な景気低迷による需要の減少が予想される中、OPECプラスによる協調減産が不調に終わり、一部国の増産により大幅下落となりました。これにより、30ドル割れも視野に入り、25ドル付近までみる専門家もいます。

原油安は、新興国通貨にも影響を及ぼし、ブラジルレアルは最安値、南アフリカランドは4年ぶりの安値圏。そして、新興国は構造的問題を抱えることも多く、アルゼンティンが昨年デフォルト。今年はレバノンがデフォルトとなっています。

そして原油安もう一つの懸念は、米国のシェールオイル生産者です。このシェールオイル生産者は、ハイ・イールド債発行者も多く、もし破綻すれば、発行債券も債務不履行となります。

昨年、クレジットリスクの専門家の話によると、世界的な金利安により、ハイ・イールド債が非常に人気が高まり、発行額はリーマンショック前の水準を超えているということです。米国国債との金利差も、減少一途だったものが、直近若干拡大しているようですが、それも、景気後退懸念によるものでしょう。

ハイ・イールド債は、所謂ジャンク債で投資不適格債と言われるものであり、デフォルトリスクが比較的高い発行体が多く存在します。もし、デフォルトリスクが顕在化し、ハイ・イールド債が暴落するようなことになれば。金融機関も大きな損失を抱えると考えられます。まだ試算を見てないので何とも言えませんが、充分に警戒しておく方がいいと考えます。

また、新型肺炎の感染拡大が長期化し、株価が長期間低迷すれば、個人消費にも影響が出ます。日本は、5~6月には昨年の消費増税の対策も期限が切れますが、今まで製造業が振るわない中、個人消費が景気を支えてきた米国も株価低迷による消費打撃は大きいと考えられます。

ただ、各国経済対策も出してくるでしょう。昨日は、トランプ大統領が給与税の年末まで0%とするなど打ち出していましたが、これは成立までにはハードルは決して高ないようですが、実現すれば日本円換算で80兆円にも上るそうです。

米国は、金利引き下げ余地もありますが、ヨーロッパや日本は金利引き下げ余地はほとんどありません。

また、米国では中高所得者層が貯蓄傾向にあり、減税となっても消費に向かわず貯蓄に向く可能性もあります。

このまま、感染拡大が続けば、航空業界でも構造的に問題ある企業は破綻すると思われます。それが、新たなデフォルトリスクを引き起こしかねません。元々、今年、年後半には5G対応の端末販売で半導体関連中心に回復が想定されておりました。これについても、私自身は懸念を持っています。IphoneXも、本体価格が高く当初は苦戦しましたが、今回も機種の高さと、新型肺炎による消費減退も重なり苦戦するのではないでしょうか。

明るい話は、中国で感染者数が落ち着いてきており、このまま終息となれば生産ラインも戻るでしょうし、そうなれば賃金は上昇傾向の国ですので消費も戻るとは思われます。その上、中国では今回の新型肺炎により、5Gによる遠隔記者会見や、ITによる遠隔授業も行っており、逆手に取った動きも出てくるかもしれません。

日本でも、こういう新しい試みが出てくれば、いつの日か高値更新という日が来るかもしれません。

では今日も最後に、相場格言を一つ

「行き過ぎもまた相場」
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