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日本の投資信託の現状

昔、私がまだ若い証券セールスセールスだったころ、ベテランの個人投資家の方から、「あんなものは買うものやない。君らも、会社から言われてるのは分かるけど、そんなものはあんまり勧めん方がいいぞ。」と言われたこともあります。また、「そんなものを勧める奴は、うちへは出入り差し止めだ。二度と来るな。」と怒鳴られたこともあります。でも、今は【投資信託】自身見直され、現に書店へ行くと投資信託に関する本が山積みされています。また、NISAやIDECOの活用により、非課税特典もあり、資産運用の大きな一翼を担っています。

確かに、大手証券や一部の準大手証券の系列投信会社が設定するものが殆どだった時代は、単位型クローズド投信が多く不透明な面も少なからずありました。(販売手数料とは別に投資信託の運用に関わる手数料を約束したケース等々。今は、売買手数料が自由化されそういうことも意味をなさなくなった。)

ただ、現在は、外資系の投信会社や、独立系の投信会社も増え、いろいろな意味で透明感は増してきています。実際、投信会社の直販の投信もあり、その投資家向けに毎月、運用報告会を開催している投信会社もあります。以前も、投資家向け説明会はありましたが、それは、販売会社主宰の不定期なもので、他、運用説明会というと、販売会社向けの説明会はありましたが、それらのほとんどは不定期なものでした。私自身、現役時代にそのような説明会に何度も出席しましたが、両者には雲泥の差があります。

直販型の投資信託会社の投資家向け運用説明会は、運用責任者が自ら、その投信を保有している投資家に対し、それまでの運用方針とその成果、そして、今後の運用方針について説明するのですから、それはもう、真剣勝負さながらです。説明もできるだけ平易な言葉を選び、誰にもわかりやすく説明されます。また、質問も辛辣なものも有ります。それに対し、販売会社向けの説明会(聞き手は販売会社の販売担当者)は、会社同士の法人上の付き合いがあり、そのうえで行われるものですから、説明内容も言い訳がましく、専門用語を並べ立て説明されます。また質問も状況を理解したうえでのものですから、今後の見通しに重点を置いたものになりがちです。

今の投資信託は、以前に比し随分と透明性も増しており、最近よく聞かれる信託報酬についても、一部、運用実績に応じたものも出てきております。そして、運用対象も以前のように、債券や株式といった単純なものだけでなく、様々な収益機会を取り入れた複合型の投資信託も数多く設定されております。(その分、余計にややこしくなり素人には理解しがたいものも多く存在している。)

なにしろ、投資信託の内容は進化し、その運用体制も明らかに透明度は増してきている。ただ、販売体制はどうだろうか。一時期、問題になった、回転売買や高齢者への押し付け販売は、当局の指導や、販売会社の自主規制もあり減少しているとは思います。ただ、それでも、未だに、私のところへの相談でも、グローバル株式ファンドから、ファンドラップへの乗り換えを勧められたがどうすればいいでしょうか。というのがありました。現在保有されている投信は、日米欧や一部新興国株式に投資するもので、保有して2年程度で2~3割利益が出ているものでした。それを、グローバル投資のファンドラップに買い替えませんか。という勧誘です。そこで中身をみると、先進国・新興国の株式等で構成するファンドラップでした。これでは、入れ替える意味が見当たりません。これなどは、明らかな手数料稼ぎでしょう。

今日も、自身のブログを書いているうちにも、郵政による高齢者への投信不適切販売というニュースが入ってきました。確かに、日本の金融資産は高齢者が多く所有していることは事実です。だからと言って、このような不適切な販売を行っているから、投資信託そのものの信頼感を害するのです。

前にもお話ししましたが、投資信託は投資にになくてはならないものとなってきていますが、情報も偏りがちで何が何だかよく分からない、という話をよく聞きます。それだけに投資信託に詳しい専門家に相談すべきです。自分の投資方針に合わない投資信託を高い手数料を支払って購入するより、自分自身の投資に関する思いを打ち明けたうえで、自身に合うと考えられる投信を選択し購入することが大事です。

よく、大手都市銀行や、大手証券の店頭ポスターに、『投資無料相談会』開催と謳っているのを見かけます。無料相談会と言っても、相談料無料というだけで、開催している金融機関が扱う投信を勧められるだけです。そこには、多額の手数料が発生することをお忘れなく。

このような金融機関による『無料相談会』へ、退職金が入ったが、どうすればいいか、と相談し、金融機関の勧めるがままに、運用していたら、気が付けば資金が半分以下になっていたという話は、本当によくある話です。

また、余談になりますが、団塊の世代や、それに準ずる世代の方で、大手企業に勤務されていた方が結構多いのです。それは、退職金が比較的多く、効率的な運用を望んでいる方が多いからです。そして、その方たちは、激動の時代を生き抜き、充分な社会経験を積んでいるから、自分は大丈夫と思われるケースも多く、実際に複雑な内容のものも、ある程度理解されます。それだけに、金融機関は、経験豊かな、判断力に富んだ最適投資家と判断し、専門用語を交えつつ、その方の琴線に触れるようなセールストークで接してきます。そうこうしているうちに、信頼していたところが、気が付けば、取り返しのつかないこととなっている場合も多いのです。

先ずは、自身で勉強することも大事ですが、中立的な専門家に相談しつつ、少しづつ始められればいかがでしょうか。
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