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金融商品のうらおもてⅢ

前回まで、債券についていろいろ話しましたが、その中で、「格付け」という言葉がよく出てきました。では、「格付け」って何でしょう。よく聞く言葉で、ご存知の方も多いとは思いますが、ここでもう一度、おさらいをしておきましょう。

債券の格付けなどというと、ややこしく感じる方もいらっしゃるとは思いますが、一般的なことで話すると、日本の国債の格付けが下がったとか、格下げの可能性があるとか、お聞きになることはあると思います。

一般に格付けは、格付け機関といわれるところで行われています。世界的にいうと、S&P、ムーディーズ、フィッチの三社が有名で、世界の格付けの9割を占めています。AAA(トリプルA)が最上級の格付けとされています。現在、S&Pで、AAAになっているのは、ドイツ、オーストラリア、スイスなど数か国の国債等です。ちなみに、日本国債はA+、米国債はAA+となっています。一般に投資適格債は、BBBまでとされ、BB以下は投資不適格債といわれ、ハイ・イールド債(ジャンク債)と称されます。通常、格付けが高い債券ほど、利払い・償還リスクが低いので、利率は低くなります。反対に、格付けの低い債券ほど、利率は高くなります。

では、どのように債券の利率はどのように決まるのでしょうか。?

通常、国債や政府機関債などのソブリン債は、中央銀行による政策金利(日本でいう公定歩合等)により違ってきます。だから、発行される通貨によっての違いは、これに準ずるものです。発行体の財務状況が急速に悪化したり、政情不安等により、急激に債券が暴落することがあります。

これにより、通常、先進国より、新興国は、一般的に政情不安に陥りやすく、また、財務状況も脆弱なために、通貨不安を起こしやすく、それにより急激な金利上昇を招いたりします。先進国の金利や、通貨は、信頼性も高く、政情不安や、経済不安に見舞われても、長い投資スパンでみると一時的なものであるといえるでしょう。仮に、米ドルが売られ、米国債が売られたとしましょう。その場合は、国債の値下がり、即ち金利の高騰ですので、ある一定のラインでは、買いも入り、それにより、通貨の下支えとなります。

ただ、格付けが高いから絶対安心か、といえばそうでもありません。過去、「エンロン」や「ワールドコム」など、投資適格の格付けが付与されていながら、破綻した大企業もありました。また、リーマンショックのように、格付けの低い、「サブプライムローン」を他の商品と組成することにより、破綻するリスクが軽減されたような錯覚を生じさせ、あのような大事件を引き起こすこととなりました。

今現在は、債券バブルといわれるほど、債券価格は高値圏を維持しています(よって低金利)。それは、ハイ・イールド債といわれる、投資不適格債も高値圏を維持しています。実際に、このところの世界経済の好調により、投資不適格債といわれる、BB以下の発行体債券も破綻確率は非情に低くなっており、投資不適格のラインを引き下げてはともいわれています。日米欧に代表されるように先進国の高格付け債は、マイナス金利などの極端な低金利になっていますので、ハイイールド債人気も仕方ないかとも考えられます。

確かにいまは、世界的に、景気上昇が最長期化しているといわれているにも関わらず、世界的な低金利、通貨安競争を呈しており、債券市場にとっては、この上ない、追い風となっています。しかし、世界景気の減速感が見られるなか、このような債券バブルのような、金融サイクルがいつまでも続くのでしょうか。世界的な景気減速となれば、通常、金利は低下(債券価格上昇)するのですが、今は、日欧はすでにマイナス金利、特に日本は、国債買い入れだけでなく、ETF買いも行っています。これでは、中央銀行のこれ以上の政策余地は無いに等しいといえます。

政策余地のない中、景気が減速すると、債券安による金利上昇が起こる可能性も否定できないのではないでしょうか。この場合は、ハイイールド債は、真っ先に売られることになると考えられますし、先進国高格付けソブリン債(国際・政府機関債)ほど、売られても下値抵抗があると考えられます。

金利がいいからと思って安易に投資すると、大やけどということもよくある話です。見かけの良さに誤魔化されないでおきましょう。

通常、一般企業が起債する際には、格付けをとるのが一般的ですが、あえて、格付けをとらない場合もあります。格付けを依頼すると、費用が発生します。その分、発行金利も低くなりますが、発行額によっては、格付けせずに、その費用を金利として上乗せし発行するという方法もあります。実際、格付けをとらず、その分金利を上乗せし、その上、その発行会社のキャッシュフローが、急減した時は、早期の償還に応じるという特約が付いていたケースもあります。

だから、金利が高いからとか、格付けが高いからというだけで、投資債券を選ぶのではなく、中身をよく精査したうえで、投資してください。

債券については、これくらいにしておきますが、最後に前回話した【仕組債】について、もう一度お話しします。というのも、現在、大手証券から、中堅証券まで、あらゆる金融機関で幅広く販売されています。しかし、これは、一つ間違えば、ハイリスク・ローリターン、ハイリスク・ノーリターンになることが多い商品です。

以前、一般への公募仕組債の販売だけでなく、私募の仕組債として、学校法人や農協などに販売してました。そして訴訟になったケースも数多くあります。そうした経緯を踏まえ、金融庁の指針等を受け、証券業協会が、”デリバティブ取引を利用した複雑な仕組債”と規定し、各々規制を設けるなどの指導を行っていますが、今も、あっせんセンターなどへ、持ち込まれることも少なくありません。

ただ、これだけ多くの金融機関等で販売されており、金融機関にとって手数料が高いというだけでなく、販売しやすい商品なのでしょう。それだけに、営業員のセールストークだけでなく、中身をよく精査することが大事です。

ではその中身ですが、どのようなものなら、いいといえるのでしょうか。いいものというと非常に語弊がありますが、まだ、マシな、考える余地がなくもないものを探すとすればということでお話しします。EB債の場合、転換条項のついている銘柄は、成長企業か安定企業か見てください。できれば、バリュー株といわれるような高配当の大型銘柄で株価水準もPERやチャート(週足)で割安と思われるものなら、考える余地もあるといえるのではないでしょうか。一般にグロース銘柄といわれるような成長企業の株価は変動も大きく、早期償還の可能性も高いが、ノックインし、株券で償還されるリスクが非常に高いと考えられるでしょう。株券で償還されるということは、その時点で、大きく元本を割り込んでいるということです。

それだけに、このような【仕組債】などに投資する場合は、充分に中身を精査したうえで、行ってください。勧められた際は、いろいろなことについて質問攻めにするのもいいかもしれません。【仕組債】の中核については、発行期間がユーロ市場で個別に取引しているオプション取引等も含まれており、販売証券の営業員もわからないところはあります。しかし、肝心の債券の内容すら、よく理解していない営業マンもあると思われます。自社が販売する商品も理解できていないというのは言語道断です。

債券についてばかり話してもキリがありませんので、これくらいにします。他に質問等が有れば、メールでお問い合わせください。機会があれば、また、ブログでもお話しします。では、次は、投資信託につてお話しします。

 

 
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