金融商品のうらおもてⅡ
前回、外貨建て債券と外国株売買について、話をしました。今回は、【債券】について話をします。一般的に債券と言うと、国や一般事業法人や債券発券銀行などが発行するするもので、一定期間ごとに利金が支払われ、償還の際に額面金額が還ってくるものが普通ですね。これを、SB(ストレート・ボンド)といっています。他に、外国債の一部に、ゼロ・クーポン債(割引債)といって、金利相当分を割り引いて発行し、償還の際に、額面で還ってくるものもあります。
一般に、債券は発行体の格付け、期間・発行通貨によって金利が違ってきます。ですから、ストレート・ボンドやゼロ・クーポン債の場合は格付けによって、信用度が違います。
現在、日本の国債は、個人向け国債で、固定金利3年、5年、変動金利10年のいずれも、0.05%です。100万円投資して、1年で税込み500円にしかなりません。これでは、投資にもなりません。そこで、今、各金融機関がこぞって、販売しているのが、所謂、『仕組債』というものです。
「早期償還条項付 他社株式株価連動 円建て債券1年半5.6%」「早期償還条項付 ノックイン型日欧2指数参照デジタルクーポン円建て社債5年6.00%又は0.5%」「早期償還条項付 上場投信転換条項付 デジタルクーポン円建債券(NEXT FUNDS日経平均レバレッジETF)2年11.5%」
これらは、いずれも現在、国内で販売されている『仕組債』の名称です。この名称だけでは、どんな債券か、ほとんど解りませんよね。ただ、利率が非常に高いことが際立っています。じゃあ、どんな債券か、考えていきましょう。先ず、3本とも、「早期償還条項付」というフレーズが入っています。これは、一定条件が整えば、満期より以前に償還するということです。では一定条件とは何でしょう。早期償還判定日(利払日の一定営業日前)の株価が、基準価格(募集期間最終日及び発行日の場合が多い)より一定水準以上であれば、その時点で償還するということです。
また、「他社株式株価連動」「ノックイン型日欧2指数参照」「上場投信転換条項付」という言葉が入っていますが、これは何でしょう。早い話がこれは、株価によって、償還金額が変動することです。「他社株式株価連動」というのは、予め決められた個別株式(指数)の株価が、償還までの期間に一度でもその株価が、基準価格より一定水準(発行時期や発行会社、銘柄、指数によって大きく異なる。)以上に下回れば、株価に連動して償還されるか、当該銘柄で償還されるということです。この場合は、償還時点で株価が、基準価格を上回っていない限り元本を割り込むということになります。(上回っている場合は元本)
デジタル・クーポンという言葉の入っている債券がありますが、これは、利払い日ごとに決められた利率決定日の株価が予め決められた価格より上の場合は、当初利率の高い方(この場合は6%)で利金が支払われ、下の場合は、当初利率の低い方(この場合0.5%)で支払われます。
ここまで、読まれても充分にご理解いただけましたか?解ったような解らないようなという方がほとんどではないでしょうか。以前から、このような、”複雑な仕組債”は、金融庁からも、「顧客の充分な理解を得ないまま販売する事例が多く見受けられる」と指針を出し、証券業協会からも、説明義務に関し制約を課しています。ただ、長年の低金利の中、現在も多くの証券会社等で販売されています。ただ欧米では、このような、”複雑な仕組債”は個人向けの販売が禁じられている場合も多いと聞きます。
仕組債は、このほかにも、二重通貨建て債券、為替リスク低減型外貨建て債券など様々な、仕組債があります。中味を充分に精査したうえで、判断することが肝要です。
では、仕組債の中身は、どうなっているのでしょうか。先ず、発行体ですが、これは、海外の高格付けの金融機関となっていることが殆どです。ただ、だから安心というわけではありません。『仕組債』において、格付けよりも、その仕組み・内容がすべてといって過言ではありません。では、円建てなのに、金利が高いのはなぜでしょう。それは、デリバティブ取引、オプション取引などを、海外の証券会社や金融機関とスワップ取引を利用しているからです。といっても、どうなっているか判然としませんが、債券の内容により、極めて複雑な金融取引により成り立っているとお考え下さい。
では、説明も難しく、簡単に理解を得られない、しかも、場合によっては、販売に規制も伴う商品を、数多くの証券会社等が販売しているのでしょうか。
それは、長引く低金利の中、見かけの表面利率が高く、個人受けがすること。それに、発行会社、販売会社の手数料が高いということになります。(手数料自体、中身や条件、内容によって違ってきますので、一概にどれくらいといえません。)その上、早期償還となれば、その時点で、他の商品への乗り換え販売も可能となります。
そして、この商品は、販売会社により千差万別です。また、一定金額以上の大口なら、自分だけの私募債を作ってくれることもあります。
こう考えていくと、投資家故人の受け取るリターンは、リスクの割には決して多くないリターンといえるのではないでしょうか。複雑な仕組債であるために、販売対象を保有資産や投資経験、年齢等により限定している金融機関もあります。しかし、ネットで簡単に見るだけでも、数多くありますので、勧誘されることも多いと思います。
以前も、休日にクライアントより電話があり、取り急ぎ相談したいと話があり、お会いしてみると、某国内大手証券から勧誘を受けたという、『仕組債』でした。証券会社から、もう残り少ないので、急いだほうがいいと言われたが、どうすればいいか。とのことでした。
仕組債等に限りませんが、現在、数多くの、『投資商品』が出ております。中には、詐欺まがいのものもあります。あまりにも高金利を謳って【債券】を意識させるようなもので、自身で簡単に納得いかない場合や判断がつかない場合は、よく説明を聞いたうえで、専門家に相談されることをお勧めします。
一般に、債券は発行体の格付け、期間・発行通貨によって金利が違ってきます。ですから、ストレート・ボンドやゼロ・クーポン債の場合は格付けによって、信用度が違います。
現在、日本の国債は、個人向け国債で、固定金利3年、5年、変動金利10年のいずれも、0.05%です。100万円投資して、1年で税込み500円にしかなりません。これでは、投資にもなりません。そこで、今、各金融機関がこぞって、販売しているのが、所謂、『仕組債』というものです。
「早期償還条項付 他社株式株価連動 円建て債券1年半5.6%」「早期償還条項付 ノックイン型日欧2指数参照デジタルクーポン円建て社債5年6.00%又は0.5%」「早期償還条項付 上場投信転換条項付 デジタルクーポン円建債券(NEXT FUNDS日経平均レバレッジETF)2年11.5%」
これらは、いずれも現在、国内で販売されている『仕組債』の名称です。この名称だけでは、どんな債券か、ほとんど解りませんよね。ただ、利率が非常に高いことが際立っています。じゃあ、どんな債券か、考えていきましょう。先ず、3本とも、「早期償還条項付」というフレーズが入っています。これは、一定条件が整えば、満期より以前に償還するということです。では一定条件とは何でしょう。早期償還判定日(利払日の一定営業日前)の株価が、基準価格(募集期間最終日及び発行日の場合が多い)より一定水準以上であれば、その時点で償還するということです。
また、「他社株式株価連動」「ノックイン型日欧2指数参照」「上場投信転換条項付」という言葉が入っていますが、これは何でしょう。早い話がこれは、株価によって、償還金額が変動することです。「他社株式株価連動」というのは、予め決められた個別株式(指数)の株価が、償還までの期間に一度でもその株価が、基準価格より一定水準(発行時期や発行会社、銘柄、指数によって大きく異なる。)以上に下回れば、株価に連動して償還されるか、当該銘柄で償還されるということです。この場合は、償還時点で株価が、基準価格を上回っていない限り元本を割り込むということになります。(上回っている場合は元本)
デジタル・クーポンという言葉の入っている債券がありますが、これは、利払い日ごとに決められた利率決定日の株価が予め決められた価格より上の場合は、当初利率の高い方(この場合は6%)で利金が支払われ、下の場合は、当初利率の低い方(この場合0.5%)で支払われます。
ここまで、読まれても充分にご理解いただけましたか?解ったような解らないようなという方がほとんどではないでしょうか。以前から、このような、”複雑な仕組債”は、金融庁からも、「顧客の充分な理解を得ないまま販売する事例が多く見受けられる」と指針を出し、証券業協会からも、説明義務に関し制約を課しています。ただ、長年の低金利の中、現在も多くの証券会社等で販売されています。ただ欧米では、このような、”複雑な仕組債”は個人向けの販売が禁じられている場合も多いと聞きます。
仕組債は、このほかにも、二重通貨建て債券、為替リスク低減型外貨建て債券など様々な、仕組債があります。中味を充分に精査したうえで、判断することが肝要です。
では、仕組債の中身は、どうなっているのでしょうか。先ず、発行体ですが、これは、海外の高格付けの金融機関となっていることが殆どです。ただ、だから安心というわけではありません。『仕組債』において、格付けよりも、その仕組み・内容がすべてといって過言ではありません。では、円建てなのに、金利が高いのはなぜでしょう。それは、デリバティブ取引、オプション取引などを、海外の証券会社や金融機関とスワップ取引を利用しているからです。といっても、どうなっているか判然としませんが、債券の内容により、極めて複雑な金融取引により成り立っているとお考え下さい。
では、説明も難しく、簡単に理解を得られない、しかも、場合によっては、販売に規制も伴う商品を、数多くの証券会社等が販売しているのでしょうか。
それは、長引く低金利の中、見かけの表面利率が高く、個人受けがすること。それに、発行会社、販売会社の手数料が高いということになります。(手数料自体、中身や条件、内容によって違ってきますので、一概にどれくらいといえません。)その上、早期償還となれば、その時点で、他の商品への乗り換え販売も可能となります。
そして、この商品は、販売会社により千差万別です。また、一定金額以上の大口なら、自分だけの私募債を作ってくれることもあります。
こう考えていくと、投資家故人の受け取るリターンは、リスクの割には決して多くないリターンといえるのではないでしょうか。複雑な仕組債であるために、販売対象を保有資産や投資経験、年齢等により限定している金融機関もあります。しかし、ネットで簡単に見るだけでも、数多くありますので、勧誘されることも多いと思います。
以前も、休日にクライアントより電話があり、取り急ぎ相談したいと話があり、お会いしてみると、某国内大手証券から勧誘を受けたという、『仕組債』でした。証券会社から、もう残り少ないので、急いだほうがいいと言われたが、どうすればいいか。とのことでした。
仕組債等に限りませんが、現在、数多くの、『投資商品』が出ております。中には、詐欺まがいのものもあります。あまりにも高金利を謳って【債券】を意識させるようなもので、自身で簡単に納得いかない場合や判断がつかない場合は、よく説明を聞いたうえで、専門家に相談されることをお勧めします。
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